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2019年度施政方針




平成31年第1回吉川市議会3月定例会を招集申し上げましたところ、議員の皆さま方におかれましては、ご健勝にてご参集を賜り、心から御礼を申し上げます。

そしてまず、本定例会開会に当たり、平成31年度における市政に対する所信を述べさせていただく前に、先日に行われました市長選挙におきましては、多くの市民の皆さまから、これまでの取り組みに対する高い評価と温かいご支援をいただく中、引き続き市長として市政運営を担わせていただくこととなり、心から感謝申し上げます。皆さまからのさらなる期待にしっかりと応えてゆこうと、心身ともに充実した中でこの場に立たせていただいております。



はじめに



さて、今年は歴史的な皇位継承の年にあたります。4月30日に天皇陛下がご退位され、翌5月1日に皇太子殿下が天皇にご即位されることにより、30年余り続いた平成から新元号への改元が行われます。

平成の時代を振り返りますと、好景気に沸いたバブル景気とその崩壊、東日本大震災をはじめとした大規模な自然災害の発生、人口減少・高齢化社会への突入、インターネットやスマートフォン、AI等の新技術の急速な普及など、人々の営みや経済社会が大きく変化した30年でございました。

本市においては、環境センターや屋内温水プール、市民交流センターおあしすなど多くの施設がオープンし、平成8年の市制施行や平成24年の吉川美南駅開業、そして平成30年には長年の悲願であった市役所新庁舎が完成するなど、吉川市の歴史に残る大きな出来事がございました。

5月の改元を機に、時代は大きな区切りを迎え、私たちは新たな時代への第一歩を踏み出すことになります。国においては、防災・減災対策による国土強靭化や、生涯現役社会を目指した雇用制度改革、全世代型の社会保障制度改革など、様々な取り組みにより、少子高齢化、激動する国際情勢に対応しようとしております。

そうした中、平成31年度の経済見通しについて国は、『平成31年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度』において、「平成31年10月に消費税率の引上げが予定されている中、経済の回復基調が持続するよう当初予算において臨時・特別の措置を講ずるなどの政策効果もあいまって、我が国の経済は雇用・所得環境の改善が続き、経済の好循環が更に進展し、内需を中心とした景気回復が見込まれる」としており、今後の経済財政運営に当たっては、引き続き、「経済再生なくして財政健全化なし」を基本とし、持続的な成長経路の実現に向けて、「人づくり革命」と「生産性革命」に最優先で取り組むなどが示されております。

本市におきましても、「市民の幸福実感向上」と「将来に向けて持続可能な発展」を目指し、市長選挙でお示しした新たな政策リーフレットに基づき、旭・三輪野江地区の未来ビジョンを含め、様々な分野の施策のさらなる推進を図っていく必要があると考えており、財政においても将来にわたり持続可能となるよう、国及び埼玉県の政策を注視し、人事交流を通じたパイプ作りに力を入れ、国、県と連携した政策展開を目指してまいります。

以上を前提とし、吉川市の平成31年度当初予算編成においては、『「第5次総合振興計画後期基本計画」と「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を推進すること』、『「市民との真の共動」を推進すること』を主柱とし、「価値ある未来を創る」ための「取捨選択」・「チャレンジ」・「スピード感」、そして「SDGs(エス・ディー・ジーズ)」を意識した事業計画のもと、政策のさらなる充実化・効率化を図るために、これまで以上に部署を越えた「横断的な事業展開の推進」を方針として示しました。

結果、平成31年度吉川市一般会計は254億3,300万円、特別会計総額は139億7,900万3千円、企業会計総額は46億8,097万7千円の予算案となっております。

それでは平成31年度の市政運営と主要施策について、「第5次総合振興計画・後期基本計画」をもとに、説明させていただきます。






重点テーマ
「Ⅰ 市民の安全・安心を高める」



はじめに、重点テーマの1つ目は「市民の安全・安心を高める」であります。

吉川市として、初めて避難勧告を発令した平成27年の関東・東北豪雨では、「川の郷よしかわ」に自然災害がそこまで迫ってきていると、大きな危機感を持ちました。また、平成28年4月に発生した熊本地震や西日本を中心に甚大な被害をもたらした平成30年7月豪雨などを見ても、人知を超える自然災害が吉川市においても、いつ起きてもおかしくない状況であり、安全で安心なまちづくりへの取り組みは急務であります。 

昨年は、世相を表す漢字として「災」が選出されました。6月の大阪府北部地震をはじめ、7月の西日本豪雨、9月には近畿地方を襲った台風、そして北海道胆振東部地震と、全国において大規模な自然災害が発生しており、大阪府北部地震では支援物資を、また西日本豪雨では岡山県倉敷市へ人的支援をしてまいりました。

当市においては、幸いにも大きな被害は発生しておりませんが、8月の台風13号では、重要水防地区の吉川駅南側周辺対策として、台風接近の前日に3か所の避難所を開設し、災害時避難行動要支援者に自主避難の呼び掛けを行っております。

私は、これまで重ねてきた被災地視察や被災自治体の首長、市民、そして学識者との意見交換を通じて、「行政だけでは市民の命を救うことはできない」と強く感じ、「自助」の意識の重要性を再確認するとともに、「自然災害は人知を超えたものであり、すべてを防げるものではなく、謙虚に少しでも減らす」という意識のもと、平成29年を「減災元年」と位置づけ、災害対応施策を展開してまいりました。まず組織については、危機管理課を設立し、災害対応における現地での指揮や行政との連携など、幅広い経験を持つ元自衛官の採用、埼玉県や吉川松伏消防組合との人事交流などを含めた体制の整備、陸上自衛隊第32普通科連隊第3中隊、消防団や民間企業との連携を深めてまいりました。

また、「連携の強化」と「市民にとってより現実的な災害対策訓練」の2つを大きなテーマとした「減災プロジェクト」では、これらの関係機関などが実践に即した訓練内容で、さらなる連携の強化を図ってまいりました。

これまでの「減災プロジェクト」については、震災編として美南小学校、三輪野江小学校で、水害編として吉川小学校で実施してまいりました。4回目となる平成31年度においては、水防重要地区である中曽根小学校区を舞台に水害を想定し、自主防災組織など地域の方々も指定避難所への避難行動や避難所開設・運営訓練などを行うほか、中川河川敷において消防や警察、自衛隊との連携のもと、水難救助訓練を予定しており、より実践的な訓練を通じて、市民の減災意識、地域における減災力の向上と体制強化を図ってまいります。

消防体制では、大規模災害や火災発生時に消防団と消防本部や現場指揮本部が双方向で情報伝達が可能となる「携帯型デジタル簡易無線機」を計画的に導入し、災害現場における通信手段の充実を進めてまいります。

次に「市民の備え」として、平成30年度においては「自助・共助の意識向上」を大きなテーマに「小中学生に対する減災教育」、「減災リーダー認定講習会」、「被災地の生の声を直に届ける減災講演会」など様々な取組みを実施してまいりました。

平成31年度におきましても、それぞれの事業を継続推進するうえで「自助」、「共助」を基本として、「減災意識、自助・共助の意識の向上」、「地域減災の担い手の育成・発掘」を目指し、「地区における防災・減災活動に関する計画の策定支援」のほか、「避難行動要支援者への迅速かつ確実な避難情報の提供」、「災害時における飲料水・生活用水の確保」を図ってまいります。

また、「新たな最大浸水想定区域等を反映させた洪水ハザードマップの作製」なども、重要課題として取り組んでまいります。






重点テーマ
「Ⅱ 子どもの笑顔で満たされたまちをつくる」



2つ目のテーマ「子どもの笑顔で満たされたまちをつくる」の実現には、安心して子供を産み育てられる環境をつくること、そして確かな学力や豊かな心、自立心に富んだ人間性あふれる子供達を、行政や学校だけではなく、地域や家庭と連携しながら育ててゆける環境を創り出すことが重要であります。

そうした中で、「児童福祉の推進」については、「すべての子どもが希望をもって力強く成長していけるよう、子どもの貧困を見逃さず、であう・きづく・つなぐ・つながる未来へ子どもたちを応援します」を基本理念とする「吉川市子どもの貧困対策推進計画」を策定し、初年度となる平成31年度は、支援の輪を広げるため、子ども未来応援集会の開催などにより、市民や地域、事業者とともに、それぞれの主体が相互に連携しながら、横断的に子供の貧困対策を推進してまいります。

また、親子の孤立を防ぎ、適切な支援やサービスにつなげることを目的に、当事者の目線に立った寄り添い型の支援を行う「利用者支援事業」を開始するとともに、昨年11月に開設した子育て世代包括支援センターや要保護児童対策地域協議会との連携を軸に、関係機関と協力して、切れ目のない支援と児童虐待の防止に引き続き取り組んでまいります。

さらに第二保育所建替え事業や美南学童保育室整備事業を円滑に進め、引き続き子供達に対する教育や保育の充実に注力してまいります。

「学校教育の充実」については、平成32年度小学校新学習指導要領完全実施を踏まえ、平成31年度も「学校教職員の負担軽減」を大きなテーマとしております。配置2年目に入りました「学校事務支援員」の計画的活用及び、「校務支援システムと教員業務との連携」により教員の業務量の軽減を図り、児童生徒に向き合う時間を確保し、教育効果を高めてまいります。

また、吉川市教育大綱「家族を 郷土を 愛し 志を立て 凛として生きてゆく」のもと、児童生徒一人ひとりが自らの「志」を育むことができるよう、吉川市独自の「志教育」を進める中で、「志」を成し遂げるための「非認知能力の向上」を重要視し、既に学校教育で取り組んできた教育活動の内容と「非認知能力」との関連を整理し、「非認知能力」を意識した教育活動を展開してまいります。

平成30年度北谷小学校で実施した「千葉大学子どものこころの発達教育センター」との連携による「いじめ・不登校対策プログラム」については、平成31年度は関小学校に拡充してまいります。また、栄小学校で実践していた「特別支援学級でのタブレット活用」による「障害を持った子供達への学習支援」も、新たに1校拡充してまいります。

不登校対策については、心理や教育等について知識があり、将来教職や臨床心理士を目指している学生を、「家庭訪問支援員」として新たに配置し、様々な理由で不登校となり、家庭にひきこもっている児童生徒や孤立しがちな家庭に対して、定期的に家庭訪問し、児童生徒への個別の状況に応じた支援、保護者には子育ての悩み等に寄り添った支援を行うことにより、それぞれが抱える課題の解消を目指してまいります。

なお、少年センターについては、地権者に土地を返還することから、5月中を目途に旧教育委員会の建物に移転し、適応指導教室などを継続してまいります。

また、放課後の通学路における防犯面での安全を高めることを重要課題として取り組んでまいります。

吉川中学校建設については、着実に工事を進めており、今後は校庭や付属建物、外構工事などを含め、来年4月の開校を目指してまいります。

既存小中学校の施設整備については、普通教室及び特別教室に新たにエアコンを設置し、子供達の学習環境の向上を図るとともに、東中学校体育館に洋式トイレを整備することで、全ての学校体育館に洋式トイレを設置することになります。






重点テーマ
「Ⅲ まちの価値を高める」



3つ目のテーマ「まちの価値を高める」であります。

私は、市長就任以来、数多くの企業や農家の方を訪れ、様々な声に耳を傾けながら意見交換をし、吉川市における産業の現状や課題と向き合ってまいりました。

そのような中、産業振興基本条例を制定し、「産業フェア」や「吉川大吉ブランド」など、産業振興を推し進めるための様々な事業を展開するとともに、「なまずの里」として、「なまずサミット」や新たなシンボルとなる「なまずの石像」の設置など、吉川市の歴史には欠かすことのできない「なまず」をキーワードに、あらゆる機会を通じ、吉川市の魅力の発信に努めてまいりました。

今後、吉川市をさらに安定的かつ持続的に発展させていくためには、農業、商業、工業の一体的な産業振興をより一層図るとともに、吉川市の歴史や文化に光をあて、その魅力を市内外に発信していくことが重要であります。

その1つ目は「歴史文化」であります。吉川の偉人として、平成29年度は三輪野江地区出身の埼玉県知事「大沢雄一物語」、平成30年度は旭地区出身で本場所用土俵だわらを作り、家族とともに長年相撲界を陰で支えた「宮﨑吉之助物語」を刊行し、多くの方々にご支持いただいたのと同時に、吉川の子供達に「志」を持って生きることのお手本を示せたのではないかと思います。引き続き、平成31年度は吉川地区の偉人として株式会社トミーの創業者である「富山栄市郎氏」の偉業を伝えるリーフレットを作成刊行してまいります。

さらに、川からの恩恵を受けて栄えてきた吉川。そうした「川の郷・よしかわ」を取り戻そうと、中川、ウェットランド、そして大場川と展開してきた親水事業は、毎年市民の皆さんからの反響もあり、その想いを共有できていることを実感しているところです。特に昨年実施した大場川でのイベントは、なまず養殖や田園風景といったこの地域の誇るべき魅力を、協力いただいた吉川美南高校の生徒を始め地域内外の皆さんと再確認できた取り組みであり、周辺地域の活性化につながる可能性が示せたものと考えております。この流れを止めることなく、今年も、昔の吉川では日常的であった和船乗りを継続しながら、歴史や文化、農業といった魅力を活かした、多くの方が関わる地域に根差したイベントとして作り上げてまいります。

もう1つは「文化芸術」であります。これまでの市民意識調査でも「芸術文化に触れ合う機会への取組に対する満足度の低さ」が課題として挙がっていましたが、これまでに中央公民館やおあしすの整備・改修などによる施設面の整備と同時に、既存の文化団体等からのご要望へのきめ細かい対応など個々への支援を進め、さらに「文藝よしかわ刊行」「生音コンサート」及び「演劇プロジェクト」などを展開することにより、満足度があがってきています。

「文藝よしかわ」については、幅広い地域、世代から300を超える応募作品があり、小説は佐川光晴氏、短歌・俳句・川柳は田中章義氏、挿絵は葉祥明氏と、それぞれの分野の第一人者の方々に選考していただいた作品はどれも素晴らしく、レセプションにおいて葉祥明氏が「長い時間の中で、施設や建物は朽ち果てても、文化芸術はその街の哲学として受け継がれ残るものです」と話されていました。

「演劇プロジェクト」については、「埼玉県」そして「彩の国さいたま芸術劇場」の特別なご協力のもと、平成29年夏に初公演「Y市のフシギな住人たち」に続き、昨年は第2回公演「あゆみ」を上演いたしました。当日は、会場である市民交流センターおあしす多目的ホールに、アクティングエリアを囲むように3方向に設えられた客席に多くの観客をお迎えし、幅広い年齢の出演者たちが立ち上げた物語は、演者、観客、それぞれの人生につながるような舞台となり、雑誌や新聞にも取り上げられ、高い評価をいただきました。

また、昨年5月には「彩の国さいたま芸術劇場」との共催で、現代演劇をリードする若手演劇作家、藤田貴大氏の演出により、子供から大人までが楽しめる作品「めにみえない みみにしたい」を市民交流センターおあしすで上演しました。舞台と客席の境界線をあいまいにした空間で、子供達は不思議で楽しい経験をする中で、文化芸術に親しむ機会となり、大変好評をいただきました。

こうした事業を展開しつつ、文化政策研究者で独立行政法人国立美術館理事を務め、国の文化芸術政策に精通している太下義之氏に助言をいただきながら、「文化芸術を総合政策として推進するための基本的な方針」を作成したところであります。

それは、「文化芸術の振興」のみならず、「高齢者の健康長寿」、「子供達の表現教育」、「多世代交流」、「地域の絆づくり」など市の様々な課題を解決するために、部署間の連携を図る中で、文化芸術を総合的な政策として展開し、まちの価値を高めてゆくというものであり、平成31年度においても、これらの事業を吉川市の文化芸術振興の旗手事業として、継続推進してまいります。

農業分野については、農産物のブランド化や市内外での積極的なイベント開催等による吉川市の農業のPRに取り組んでおります。近年においては、これまで以上に生産者や関係機関の皆さんとの意見交換を重ね、より効果的なPRが実現できており、昨年新潟市で開催された「全国ねぎサミット」では、生産者やJAさいかつ職員の方にも参加いただき、共動により全国へ吉川ねぎをPRすることができました。今年も千葉県松戸市で開催が予定されている「全国ねぎサミット」でのPRを始め、引き続き市の農業の魅力発信に取り組むべく、産直マップの更新、任期付職員として採用した「吉川ねぎ夫」によるPRなどを展開してまいります。

また、三輪野江地区での整備を検討している農業拠点施設や、市農業の将来像について研究を進めている中、農林水産省から派遣いただいた職員の調整により、千葉大学園芸学部との連携協定を締結できる準備が整ったことから、これまで生産者や関係各位と重ねてきた議論に学術的な見地からの分析・評価を加え、伝統ある吉川市の農業に次世代の視点を取り入れた持続可能な産業として、吉川市独自の都市近郊農業の確立を目指してまいります。

商工業については、「吉川市における幸福実感向上を目指したまちづくりのための産業振興基本条例」を昨年4月に施行するとともに、11月には「吉川市産業振興計画」を策定いたしました。この計画に基づき、地域経済の一層の活力向上のため、産業振興推進事業費補助金に新たに「人材確保支援」と「創業支援」の補助メニューを加えるとともに、女性、障害者、高齢者一人ひとりのライフスタイルに応じた働き方を選択できるよう「多様な働き方セミナー」を開催してまいります。また、市内事業者と市の共動による子供達や若者への教育支援の仕組みづくりを検討してまいります。

また、「文化芸術を総合政策として推進するための基本的な方針」に基づくモデル事業として、「なまずの日記念イベント」の中で「なまずのぼり」を制作・展示し、なまずによる郷土愛の醸成と賑わいの創出を図ってまいります。

さらに、市観光の主要イベントの1つである「吉川八坂祭り」について、吉川駅北口での神輿競演が地元町会・青年会で検討されており、「よしかわ観光協会」を通じて支援し、「吉川八坂祭り」を一層盛り上げてまいります。

次に、児童館の30周年記念事業として実施した国際宇宙ステーションとの交信事業では、金井宣茂宇宙飛行士とリアルタイム交信を行い、参加した多くの子供達に夢や希望を抱かせたのではないでしょうか。

来る4月6日には、その「金井宇宙飛行士による講演会」を開催いたします。さらに、東日本大震災の復興のシンボルである「きぼうの桜」を、この吉川市にも植樹いたします。この「きぼうの桜」は、樹齢1000年を超える日本屈指の巨桜の子孫であり、復興への思いを風化させることなく、新たな観光資源として大切に育て、次世代に引き継いでまいります。






重点テーマ
「Ⅳ まちの住みよさを高める」



4つ目は「まちの住みよさを高める」であります。

私はこれまで、先人たちが長年にわたり取り組んでこられた「吉川美南駅東口」の整備や時とともに劣化していく公園の再生に着手するなど、快適な住環境の整備に向け、全力で取り組んでまいりました。そして、これらの事業を進めていくためには、多くの時間と財源、そして、何よりも市民の皆さまのご理解とご協力が不可欠であると考えております。

そうした中、「公園再生プロジェクト」においては、第一弾となる関公園について、市民の皆さまの声に丁寧に耳を傾け、市民ニーズを捉え、それらを踏まえた上で「筑波大学」が監修してくださったグランドデザインが完成し、今後はそれをもとに、新たなアスレチック遊具を設置し、「非認知能力」の向上につなげる事業を展開してまいります。

また、「一般財団法人ワンアース」と連携し、宇宙を旅した桜の種から育った「きぼうの桜」を公園のシンボルツリーとして植樹するなど、「桜の公園」という関公園のコンセプトのもと、誰もが利用しやすい公園となるよう再生を図ってまいります。

さらに、他の公園についても並行して改修を進め、市民の皆さまに市内の公園に、より親しみを感じていただけるよう事業を展開してまいります。

「市民農園再整備」については、開設以来、市民の余暇活動や高齢者の生きがいの場、児童生徒の体験学習など、多様な目的で多くの市民に親しまれてきましたが、さらに農業及び地域の拠点として魅力向上を図るため、その一歩目として平成30年度は、既存施設の改修と併せ、ホタルの自生に向けた活動の場として、飼育施設を「ほたるの会」との共動により整備いたしました。また、今後の再整備を検討する調査委託を行い、民間事業者からの意見や提案を踏まえたモデルプランを作成し、現在分析を行っているところでございます。

平成31年度は、引き続き既存施設の改修を進めながら、調査結果を基に地域に根差した持続可能な魅力溢れる施設となるよう整備内容を決定してまいります。

「吉川美南駅東口周辺地区土地区画整理事業」については、地権者の皆さまのご協力のもと、順次、現地の盛土工事を進めておりますが、今後は次の段階である下水道工事や調整池の本体工事などにも着手し、駅前を中心とした先行整備箇所の宅地完成に向け、計画的に事業を推進してまいります。

そうした中、「商業・業務ゾーン」及び「産業ゾーン」では、当地区への進出に興味を持つ「まちづくりパートナー事業者」との意見交換を重ね、企業誘致に向けた準備を進めており、平成31年度は、いよいよ企業公募を実施し、吉川市の新たな玄関口である当地区のシンボルとなり、地域の魅力づくりを担っていただける有望な企業を選定できるよう進めてまいります。

また、「三輪野江地区」については、三郷流山線の整備や三郷料金所スマートインターチェンジの拡大化、その後のフルインターチェンジ化が予定されており、未来への可能性の高まりが増してきていることから、今後とも、地区の皆さまと意見交換などを行い、地区の将来像を共有しながら、農・商・工の一体的な産業振興を理念とした、計画的な土地利用の推進に努めてまいります。

「充実した公共交通網の整備」については、平成29年12月から3年間の試行的な事業としてスタートした「高齢者のタクシー利用料助成事業」が、実施から1年経つこととなりますので、対象者へのアンケート調査や市全域を対象とした移動実態調査を実施し、事業の検証を行い、公共交通のさらなる充実に努めてまいります。






次に、「第5次総合振興計画・後期基本計画」の主要施策を説明させていただきます。




まちづくりの目標
「ふれあい・交流・協働のまちづくり- 市民交流部門」



「市民交流部門」においては、「市民の幸福実感の向上」を目指し、様々な施策を市民と行政の共動により進めるため、市内外からも評価をいただいております「市民シンクタンク」、「みらいステップアップ助成金」事業を引き続き行うとともに、さらにもう一歩、市民との協働を前進させるため、「地域課題を地域住民が主体的に解決するための取組み」について、自治会を中心とし、市民と専門家等を交え研究をしてまいります。

「男女共同参画推進事業」では、「多様性」をテーマに、各国の働き方や子育て、生活事情等を紹介し、国際的な視野で考える中で多文化共生意識も育まれるよう事業を展開してまいります。




まちづくりの目標
「元気・健やか・幸せのまちづくり- 健康福祉部門」



つづいて「健康福祉部門」の「高齢者福祉」については、「高齢者が幸福を実感し、住み慣れた地域で生きがいを持って暮らし続けられる」ことを理念として、地域で実施している介護予防教室において、これまでの「なまらん体操」に加え、健康や栄養、口腔、演劇の要素を取り入れた出前講座を新設するとともに、いきいき運動教室においても同様のプログラムを提供し、健康寿命の延伸に向けた健康づくりをさらに推進してまいります。

また、地域包括ケアシステム構築を推進するため、専任の生活支援コーディネーターを配置するとともに、地域における支えあいの意識を高めるための「市民フォーラム」を開催してまいります。

さらに、認知症への理解を深めるため、認知症サポーターの養成に努めるとともに、地域での認知症の方への対応を学ぶための見守り声かけ実践講座を実施してまいります。

「障がい者福祉」については、これまで、保護者をはじめとする関係者の皆さんと多くの意見交換を進める中で展開してきた、「専門相談員の設置」、「市役所での就労体験」、「屋内スポーツ大会の開催」、「緊急時災害時におけるヘルプカード」、「コミュニケーションボードの活用」、「ストーマ保管サービス」などを継続するとともに、昨年、障害者の「就労」と「住まい」をテーマとして立ち上げた、当事者、保護者、学校関係者、支援団体、民間、行政との連携による「障がい者の地域での生活を考える検討会議」を引き続き開催し、様々な検討を行ってまいります。

また、手話が言語であると位置づけ、手話についての基本理念を定める(仮称)「吉川市手話言語条例」の制定に向けた検討も進めてまいります。

さらに、障害者差別解消法に基づく、「障害者差別解消支援地域協議会」を新たに設置し、障害者差別解消支援の取組の推進、組織体制の強化を図り、障害の有無に関わらず相互に尊重し合いながら共生できる地域づくりを目指してまいります。

施設としては、子供たちの新たな療育の拠点となる「こども発達センター」の運営に当たってまいります。

また、重症心身障害児(者)の方々の在宅支援をより一層充実させるため、「(仮称)中川の郷療育センター在宅支援棟」の整備を支援してまいります。

「健康づくり」については、「健康・体力づくりポイント制度」や「埼玉県コバトン健康マイレージ」を引き続き実施するとともに、楽しみながら参加できるイベントとして産直ウォーキングを開催し、ウォーキングをはじめとする市民の自主的な健康づくりの取り組みを進めてまいります。

川村学園女子大学と共同で栄養バランスに配慮して作成した健康メニューの活用により、バランスのよい食生活を促進するとともに、命をいただくことを題材とした映画を上映し、食育の推進を図ってまいります。

また、安心して出産、育児ができるよう「子育て世代包括支援センター」を中心として、妊娠期から子育て期までの切れ目ない支援を行ってまいります。

「スポーツによる健康・体力づくり」については、スポーツと健康、長寿を結びつけた「吉川市スポーツビジョン」を策定してまいります。そうした中で、「総合運動公園」についても、これまで整理した検討すべき項目について、具体的な検討を行ってまいります。

また、障害者、高齢者、健常者も一緒に楽しめるスポーツ大会として、「吉川市ボッチャ大会」を開催したいと考えています。

「健康保険・年金による社会保障」については、国民健康保険事業が持続可能なものとなるよう、健全で安定的な財政運営に努めてまいります。






まちづくりの目標
「うるおい・安心・快適なまちづくり - 生活環境部門」

「地球環境」については、国連の持続可能な開発目標「SDGs」の考え方を踏まえ、「なまずによるSDGsの推進」という吉川市オリジナルのSDGsに取り組む中、エネルギーの地産地消の可能性や、市のエネルギーのあり方はどうあるべきかを検討し、「エネルギービジョン」の策定に向けて取り組んでまいります。

「上水道事業」については、安定的な運営を維持し持続可能な事業運営を行うことを目指し、平成30年度から着手した水道事業のマスタープランとなる「水道ビジョン」を策定し、また、より多くの市民に理解を深めていただけるように、水道事業の啓発事業を展開するとともに、計画的な石綿管の布設替えや水道施設の適切な管理を行い、安心、安全な水道水の安定供給を図ってまいります。

「防犯」については、職員の安全運転に対する意識の向上と交通事故の未然防止を図るとともに地域防犯にも役立てるため、公用車にドライブレコーダーを新たに設置してまいります。さらにドライブレコーダーを登載する車両を所有している事業者及び団体、埼玉県吉川警察署、市の三者間で「地域防犯活動の連携及びドライブレコーダーの記録データ提供に関する協定」を締結し、犯罪発生の抑止及び市民の防犯意識の向上を図ってまいります。






まちづくりの目標
「まちづくりの推進のために - 行政運営」



最後に、「まちづくりの推進」のうち「広聴広報」については、第13回マニフェスト大賞コミュニケーション戦略賞優秀賞にも選ばれた「市民と行政との共動」をさらに一丸となって進めるべく、市民の皆さんが主体的に市政運営へ参加ができるよう、引き続き「市長キャラバン」、「どこでも市長」、「市長とランチミーティング」などの直接意見交換できる場を設け、政策決定の一歩目を市民の皆さんと共有してまいります。加えて、「市政動画」や「FMこしがやのラジオコーナー金のなまず」など、市民による情報の発信を充実させるとともに、新たな情報ツールも活用し、多様な手段による効果的な情報発信の強化拡充を図ってまいります。

「人事管理」では、臨時職員などの任用において、平成32年度から新たに「会計年度任用職員制度」となりますので、円滑に移行できるよう準備を進めてまいります。また、職員のより一層の資質の向上を図り、住民ニーズに的確に対応できる能力を備えるため、引き続き組織力やファシリテーション研修を実施するとともに、持続可能なまちづくりを進めていくためには、自身の担当分野だけではなく、様々な分野の課題や影響を俯瞰できる能力が求められることから、SDGsに関する研修を新たに実施してまいります。

「財政運営」については、引き続き現年度課税分の徴収に重点を置き、滞納額の縮減に努めてまいります。また、給食費や保育料などの税外債権につきましても、各債権担当課と連携を図りながら、公正かつ公平な負担の適正化を図ってまいります。

「公有財産管理」については、平成27年3月に策定した「公共施設等総合管理計画」を踏まえ、個別施設ごとの長寿命化計画(個別施設計画)を策定し、公共施設等の総合的適正管理の取り組みを進めてまいります。



以上が平成31年度の市政運営と主要施策となります。 




結びに



今回の選挙においても、私は自転車で地域を回り、多くの市民の皆さまと触れ合い、意見交換をしてまいりました。

その中で最も多くいただいたご意見は、新庁舎の完成や吉川美南駅東口開発スタートなどの大きな事業から、歩道の整備、公園遊具の改修、保育園入園への加点の見直しなどの生活に密着した事業までにわたる、これまでの1期4年間の市政運営に対する高い評価でした。

それらは、まさに職員が一丸となり、一生懸命に事業に取り組んできた結果であり、まず、市民を代表する市長として、職員のこれまでの4年間に深く感謝をお伝えしたいと思います。ありがとうございました。

そしてまた、それらを可能にしたのは、昨年マニフェスト大賞を受賞することともなった「市民と行政の共動事業」の中で、市民の皆さまが様々な形で市政運営にお力を与えてくださったおかげであり、次は、行政の長として、市民の皆さまに深く感謝申し上げます。ありがとうございました。

選挙期間中、市民の皆さまから2番目に多くいただいた声は、やはり「未来への期待、希望」の声でした。

私がこれまでにお示ししてきた様々な「吉川市の未来ビジョン」に、多くの方々がご意見、アイディアを重ねてくださり、この選挙を通じて「吉川市の『未来地図』が描かれた」そう感じました。

先日の登庁式では、1期目の時よりも多くの市民、職員の皆さまに囲まれて、2期目のスタートを切ることが出来ましたが、「吉川市の未来地図」の実現のためのタクトを与えていただいた今、1期目はじまりよりも、緊張し、責任を感じ、そして「やる気」に満ちあふれています。

2期目においては、これまで以上に、市民の皆さまからご意見、アイディアをいただき、議会においても議論を深め、吉川市が目指す「幸福実感のあるまち」「持続可能なまち」の実現、そして、「価値ある未来」の創出に、私の持ち得る全ての力を捧げてゆきます。

ここからの4年間もよろしくお願い申し上げ、平成31年度の施政方針演説とさせていただきます。


平成31年2月25日 
吉川市長 中原恵人


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